sq_01.JPG

 台所に立つのが好きです。

 そこで自分や、家族が食べるものを作っているとき、幸せな時間だなと感じます。手や頭が勝手にはたらいて、ただ誰かと一緒に食卓を囲むことを考えているとき、料理をつくることは「あなたのことを想っている」と言うのと、同じことだと思います。

 写真を撮るときの感覚が、それにとても近いと思う瞬間があります。そんなとき写っているものは普通の情景だったりします。普段は見過ごされて、目をひかないようなものかもしれません。なんでもない毎日がそのまま写っていて、日常が写真になっただけの、空気のようにそこにあるもの。ぼくがいいなと思うのは、そういう意味で「普通」の写真です。普通の美。ほんとは「普通」なんてつける必要もなくて、美しさは、目を向ければどこにでもあるということを、示したいと思っています。

 最初にウェブサイトを作るとき、ほかの優れたフォトグラファーさんたち同様に、仕事で撮影した写真だけを見栄えよく並べようとしました。でもそれだと、自分が伝えたいことが、うまく伝わらないことに気が付きました。そのあとに、自分の家族や友人、出会った人、いつも生活しているまわりの様子や、読んだ本のこと、心の隅で波打つ感情や疑問、小さな喜びについて、載せていくように決めました。それら取るに足りない生活の細部も、仕事のものも、区別することなく。
 だからここは自宅とつながった事務所みたいなもので、いつでもオープンにしています。気軽にどうぞ。

イトウタカムネ